LGBTQ+と医療問題(各論)
LGBTQ+の基礎知識、健康問題に引き続き、医療における問題を記します。
当事者たちは医療機関受診にハードルを感じていますが、医療者側も「どう接してよいのか分からなくて困っている」のが現状です。
それを紐解いていきましょう。
やはり、「隠したい患者側」と「取り違えが内容確認したい医療側」の思いがすれ違うジレンマが発生しがちです。医療側が配慮すべきは「プライバシー保護に留意しながら確認できるスキル」を磨くことですね。
また、「子どもでも同様」と簡単に書いてありますが、具体的には何歳くらいから対応が必要なのか、保護者との確認事項はどの範囲か、等々情報不足が否めません。
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▶ LGBTQ+の人々が医療機関で直面する困難
トランスジェンダーの人のうち、約半数が「医療機関受診時に嫌な体験をした」ことがあり、医療者の無理解に基づく対応が医療アクセスの障害となり得る。
(例)
・医師に性的指向を打ち明けたところ、生き方を否定され説教されて傷ついた。
・精神疾患で受診した際、その一因である性的指向・性自認の話ができない。
・受付で戸籍上の名前が呼ばれるため、受診しづらい。
▶ 入院中の問題と対応:病室
・日本の入院設備の大部屋は、一般的に男女別となっている。
・トランスジェンダー:男女別の病室の場合はその旨を説明し、本人の希望を含めて検討する。表示名を保険証の記載とは異なる名前を使いたい可能性もある。保険証と異なる性別の病床へ入院希望があった際は、懸念事項を話し合うことから始めてみる。
・病室やベッドの名前表示を非表示にする対応が可能かどうか検討する。
▶ 入院中の問題と対応:面会
・クロゼットLGBTQ+(カミングアウトしていない状態・人、対義語:オープンリー)の方への面会時、病状の情報共有範囲は本人の意思を尊重し、アウティング(周囲に知らせること)を避ける。
・面会希望者が来院した際の対応について、事前に尋ねておく。
・患者が子ども・未成年の場合にも、上記と同様に本人の意思を尊重したい。
▶ 同性パートナーに関する医療現場での現状
同性パートナーが医療機関で「家族」と見なされず、病状説明を求めることや医療行為への同意、付き添いを認められていない現状がある。
(例)
・パートナーが入院したが、病室での付き添いをさせてもらえない。
・意識不明状態のパートナーについて外科手術が必要となったが、法律上の親族の同意が必要だと言われた。
・反対に、医療機関側が、意識不明状態の患者について、安否・治療内容などの情報を患者の同性パートナーに提供してよいのか戸惑った。
▶ 病状説明時の問題と対応:Q1. 法律上の家族への病状説明なら問題ないか?
・病状は個人情報です。法律上の家族でもあらかじめ本人の同意を得る必要がある。
※ 家族:“家”によって「結ばれた繋がり、共同体」のことであり、一般的には「夫婦や親子その他の血縁」「同じ家に住み生活を共にする者」という意味合いまで含めて用いられる表現(実用日本語表現辞典)
※ 法律上の親族:「六親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」を総称して「親族」と規定されている(民法第725条)。「養子と養親及びその血族」も養子縁組の日から親族関係を生じる(民法第727条)。
▶ 病状説明時の問題と対応:Q2. 法律上の家族でない方への病状説明はしていけないか?
・本人の希望がある場合には、その第三者に説明を行うことが可能。あとから確認できるよう、患者の希望する相手やその時の説明内容をカルテや書類に残しておくことを推奨。
(例)「今から病状説明を行います。〇〇さんお一人で聞かれますか、同席の方と一緒に聞かれますか。」
▶ 病状説明時の問題と対応:Q3. 第三者に病状説明をする際、その範囲に制限はあるか?
・法律上の制限はない。ただ、キーパーソンとなり得るような、患者と一定の関係を有する第三者を対象とすることを推奨。
※ キーパーソン:患者と生活を共にしている方であったり、患者の療養に一定の関与をしている方など、患者とよく話し合って決める。法律上の家族や血縁関係に限らず、法律婚やパートナーシップ宣誓をしている間柄でなければならないわけではない。
▶ 病状説明時の問題と対応:Q4. 病状説明を希望する第三者がいるか、本人に尋ねる際の留意点は?
・望まないカミングアウトを要求しているわけではないと理解してもらうことが重要。希望を尋ねる必要性も合わせて伝える。
(例)「言いたくなければ言わなくても大丈夫です」
・関係性については問わない、記載しないという選択もある。
▶ 病状説明時の問題と対応:Q5. 緊急時に誰に病状説明を希望するか患者に意思確認できない場合に備えて、医療機関としてできることはあるか?
・ふだんの通院時にあらかじめ意思確認をしておく(かつ記録)、患者に緊急連絡先カード等の利用や携帯を勧める、などが考えられる。
※ 緊急連絡先カード(福岡市社会福祉協議会)(レインボープライド愛媛)
▶ 病状説明時の問題と対応:Q6. 患者の直接意思確認できない場合、医療機関はどう対応すべきか?
・従前の意思が確認できたり意思を推定できるものがある場合は、患者の意思に基づきパートナーへの説明が可能。
・従前の意思確認がなく意思を推定できるものがない場合、「家族だから大丈夫、家族でないからダメ」と一括りにはできない。
(例)家族内暴力に及んだ(かもしれない)配偶者が、怪我をして意識不明の患者の様態をしつこく医療機関に尋ねてきた。
<参考>
・医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス(厚生労働省個人情報保護委員会)